Nature ハイライト

Cover Story:生存を賭ける:細菌での両賭け戦略の実験的進化

Nature 462, 7269

生き延びようとする生物は、変動し続ける環境にうまく対処していかなければならない。1つの解決法は、特定の合図に応じて表現型を変更していけるような感知機構を進化させることだ。その代わりになるもっと簡単な方法は、表現型の確率的、あるいはランダムな切り替え、つまり「両賭け戦略」である。脊椎動物の免疫系などのような環境に似て変動する実験条件下に置かれた蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)の研究によって、両賭け行動がどのように進化するのかがリアルタイムで示された。表紙は、コロニーのタイプをランダムに切り替える能力を進化させた蛍光菌株のコロニーである。この株はこうした戦略により、異なるタイプのコロニーが次々と有利になる人工的環境で確実に生き延びられるようになった。両賭け戦略がこのような単純な生物に存在すること、またそれに関与する変異が同定されたことで、常に変動する環境ではリスク拡散行動がどのように報われるのかが明らかになった。こうした戦略は、変動する環境内にある生命体で最も早期に進化した解決法の1つなのかもしれない(Letter p.90, www.nature.com/podcast)。

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