Nature ハイライト

Cover Story:力を示す:中性原子に加わる動重力

Nature 461, 7268

1957年にNatureに掲載された論文(www.nature.com/physics/looking-back/boot)は、不均一電場に置かれた荷電粒子に働く、電磁的ローレンツ力に対する方程式に起因する力について述べている。この「動重力」は、電子を捕捉し制御するのに使えることが、その後まもなくわかった。しかし、この力は弱く、近代的なレーザーが出現するまで、粒子加速器と慣性閉じ込め型核融合炉などに使われることはなかった。しかし今回、この力の新しい形が明らかにされた。U Eichmannたちは、短パルスのレーザー場中で中性原子に働く、今まで検討されたことのない強い運動学的な力を観測した。電子に働く動重力が駆動機構となり、地球の重力加速度より14桁も大きい強大な加速度が中性原子に加わっている。このような強さの力は、基礎物理学と応用物理学の両方で、新しい応用につながるだろう。表紙は、集束レーザービームの作用による中性ヘリウム原子の偏向の記録である(Letter p.1261, Making the paper p.1171)。

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