Nature ハイライト 細胞:胚盤葉上層細胞に多能性を取り戻させる 2009年10月29日 Nature 461, 7268 多能性状態は、最初に胚盤胞期胚の原始外胚葉細胞で確立されるが、その後の発生過程で失われる。今回Baoたちは、7.5日齢までのマウス胚の着床後かなりの時間を経た胚盤葉上層細胞をLIF–STAT3シグナル伝達に曝露すると、再プログラム化が起こって多能性が取り戻されることを明らかにしている。これらの細胞は、処理に伴ってトランスクリプトーム(細胞の総mRNA)が変化した結果、胚盤葉上層細胞にみられる表現型やエピジェネティックな記憶を失うことがわかった。この方法で再プログラム化された細胞は、自己複製する胚盤葉上層幹細胞とは異なり、キメラで体細胞組織および生殖細胞を作出することができる。この研究は、シグナル伝達やエピジェネティックな再プログラム化が多能性の再獲得を促進する仕組みを研究するモデルとなる。 2009年10月29日号の Nature ハイライト 地球:地球の水はどこから来た? 細胞:翻訳におけるリボソーム 進化:長期実験でみる進化と適応 生化学:「主」から「副」へ 宇宙:高赤方偏移を示すバースト 物理:量子ノイズを抑える 感覚:鳥の眼にはナビ機構がある 医学:宿主と細菌の相互作用 細胞:胚盤葉上層細胞に多能性を取り戻させる 目次へ戻る