Nature ハイライト

細胞:X染色体不活性化

Nature 460, 7255

哺乳類の雄はX染色体を1本、Y染色体を1本もつのに対し、雌はX染色体を2本もつので、遺伝子量が2倍になることで有害な作用が生じるのを防ぐため、一方のX染色体上の遺伝子の大半がサイレンシングを受けている。このX染色体不活性化(XCI)とよばれる過程は、RNA遺伝子Xistの発現、もっと厳密にいうと、不活性化されるほうのX染色体上にあるXistのコピーの発現が引き金となって起こる、と長い間考えられてきた。しかし、後に不活性化されることになるX染色体に欠陥のあるXist遺伝子が含まれるように遺伝子操作したマウス胚を使った研究によって、もっと複雑な図式が明らかになった。実際には、インプリンティングによるXCIの際の父系X染色体のサイレンシングは、父系Xistがなくても始まる。しかし、Xistがない状態がずっと続くと最終的にX染色体が再び活性化することから、Xistの役割は、サイレンシングを長期にわたって安定化することではないかと考えられる。

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