Nature ハイライト

細胞:ヒトのリボスイッチが初めて見つかった?

Nature 457, 7231

RNAへの小さいリガンド分子の結合がかかわるRNAスイッチ、別名リボスイッチは、細菌、菌類、植物の遺伝子発現を調節することが知られている。これらの生物でリボスイッチは、さまざまな代謝物、栄養素の欠乏や過剰への応答を行っていることが多い。今回、RNAスイッチがヒト細胞でも見つかった。新発見のリボスイッチは、血管形成に不可欠なタンパク質である血管内皮増殖因子(VEGF)をコードするmRNAの3′非翻訳領域にあるエレメントで、このmRNAはGAITとhnRNP Lという2種類の複合体に結合できる。どちらか一方と結合するとそれに特異的な構造に変わるため、もう一方とは結合できなくなる。どちらの因子が結合するかは、炎症と低酸素状態を示す環境シグナルに応じて決まる。このスイッチは、低酸素状態にある炎症組織への酸素供給を維持するために進化してきた可能性があり、迅速な応答よりも多様な入力情報の正確な統合のほうが重視される多細胞動物で、遺伝子発現を調節するために進化してきた、タンパク質に依存するRNAスイッチの一例といえそうだ。

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