Nature ハイライト

Cover Story:宇宙で起こった大激変

Nature 453, 7199

火星は、北半球と南半球に二分される。南半球の高地は火星の60%を占め、クレーターが非常に多い一方で、北半球の低地ではクレーターは少なく、地質学的により若くて地殻ももっと薄い。この「両半球への二分」にうまく合う説明は、マントル対流説か巨大衝突説だ。しかし、これらの理論を選別できる証拠はほとんど得られていない。今週号の3編の論文では、巨大衝突モデルを支持する結果が報告されている。Marinovaたちは、二分性を形成する衝突の力学シミュレーションを示し、巨大衝突が実際に起こり得たことを実証している(p.1216)。可能性の高い衝突条件でのシミュレーション結果が表紙に示されている。この図は、衝突の約30分後の時点を示したもので、色は内部エネルギーを示している。Andrews-Hannaたちは、重力データと地形データを使って、タルシス火山地域下にある二分境界の地図を作製し、斜め方向からの巨大衝突が原因だとして矛盾しない楕円形の境界を見つけた(p.1212)。また、Nimmoたちは数値モデリングにより、垂直方向からの衝突が起きて、適当な大きさの穴が地殻に掘られたとすれば、観測で見つかった地殻の破壊や北半球の低地の地殻形成が説明できることを示した(p.1220)。News & Viewsでは、W Kieferが衝突モデルの証拠の要点をまとめている(p.1191)。

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