Nature ハイライト

気候:自助努力する熱帯雨林

Nature 452, 7188

アマゾンの熱帯雨林の上空での航空機観測により、大気下層でのヒドロキシルラジカルの濃度が予想外に高いことが明らかになった。ヒドロキシルラジカルは大気中の主要な酸化物質だが、広大な森林が放出する炭化水素は大気の酸化能力を著しく減少するとこれまで考えられていた。今回の新しいデータは、実はそうでなく、原始林は大気の持続可能性を非常にうまく「管理」できることを示唆している。この状況の説明として考えられている機構は、揮発性有機化合物、主にイソプレンの自然酸化によるヒドロキシルラジカルの効率よい再循環である。したがって、外部からの影響がない場合には、森林は穏和な大気環境を維持できると思われる。しかし、森林破壊と人為起源の一酸化窒素の放出が介在する場合は、光化学作用による大気汚染が起こる可能性が高い。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度