Nature ハイライト

生態:ノイズを読み取れ

Nature 452, 7185

昆虫、魚類、鳥類、哺乳類の個体群サイズは年ごとに大きく変化する。これまで、この変動は単なるノイズであり、その裏にある個体数の変動パターンを明らかにするときに邪魔になると見なされる場合が多かった。こうした見方から、資源が制限されると個体群成長が大きく低下することに関するさまざまな理論が提案されてきた。Mintoたちは今回、この問題に対して、これまで邪魔物と考えられていた変動性のパターンそのものに注目するという新たな切り口で取り組んだ。個体群がそのサイズにより制御されるのであれば、変動するデータには識別可能なパターンがあるはずである。この仮定は、魚類種の全球的データベースを調べることで裏付けられた。得られた予測はあらゆる個体群サイズについて当てはまり、特に、変動の振れ幅が大きくなり続けると、個体群サイズは小さくなっていくことがわかった。個体群サイズの平均値だけに注目すると、この事実を見逃してしまい、個体数が激減して絶滅してしまうリスクが増加する可能性がある。

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