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宇宙:内部太陽系の組成

Nature 452, 7185

ネオジム-サマリウム系は、2つの有用な同位体年代決定法で用いられている。サマリウム147からネオジム143への崩壊は、古代の火山岩研究の要である。また1億300万年という比較的短い半減期をもつサマリウム146からネオジム142への崩壊は、惑星の内部でマントルが分化した年代の推定に使われる精度の高い方法である。しかし、この年代は、コンドライトと呼ばれる始原的で未分化の隕石と惑星全体の組成が同一であるという仮定に基づいている。したがって、コンドライトと地球上の試料でのネオジム同位体比の違いは、上部マントルが初期に分離していたか、地球全体の組成が非コンドライト的であることを示している可能性がある。Caroたちは、16個の火星起源の隕石について精度の高いネオジム同位体データを示し、火星もまた非コンドライト的組成をもつことを明らかにした。このことは、地球、月、火星のすべてが、コンドライト生成源と考えられている小惑星帯で集積した物質に比べてSm/Nd比が約5%高い内部太陽系領域で集積したことを示唆している。

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