Nature ハイライト

Cover Story:上昇する熱:メキシコ湾岸流の影響は大西洋上10 kmの高さにまで及んでいる

Nature 452, 7184

メキシコ湾流は大西洋の暖流で、熱を北方へ運び、それによってヨーロッパ西部の冬は北アメリカの冬よりもかなり温暖に保たれる。メキシコ湾流は海面の風や低気圧の発生など短期的な気象現象に影響することが知られているが、より長期的な気候や大気の上部に与える影響はあまり解明されていない。今回、気象解析と衛星データおよび大気大循環モデルを組み合わせることで、メキシコ湾流の影響は海面近くの大気よりもずっと上空にまで及んでいることが明らかになった。この海流は、上昇して対流圏上部へ広がる大気の高い壁を停留させ、厚い雨雲を維持する。これが、メキシコ湾流が局所的な気候と、おそらくはプラネタリー波の伝播への働きを介して遠隔地域の気候にも影響を及ぼす仕組みとなっている。表紙は、北アメリカ大陸東岸の地形に沿って、表面の海流速度を青-白の等値線(白が最速)で、上向きの風速を黄-赤(赤い方が風が強い)で示した図(Letter p.206)。

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