Nature ハイライト

医学:原生動物がもっている「植物」ホルモン

Nature 451, 7175

カルシウムシグナル伝達は、アピコンプレックス門に属するヒト病原体であるトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)の毒性を決める上で重要な役割を果たしている。この機構の研究から、シグナル伝達に予想外の物質、植物ホルモンであるアブシジン酸がかかわっていることが明らかとなった。比較遺伝学により、この植物ホルモンの合成経路が細胞内共生により獲得されたことがわかった。この経路は、病原性の重要な要素である、溶血を起こす増殖状態と休止状態とを切り替える重要な分化スイッチを制御している。アブシジン酸生合成の特異的阻害薬が致死的な感染からマウスを保護できることで示されたように、この経路の植物類似の性質は新たな治療薬の開発に使えるかもしれない。

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