Nature ハイライト

物理:安定性の極限

Nature 449, 7165

所与の数の陽子に中性子が何個まで束縛されうるかという限界は、中性子ドリップラインと呼ばれ、核物理学では重要である。この限界は、最も軽い元素群以外では知られていないが、それは単一粒子と集団的な量子効果の間の相互作用が複雑なためだ。しかし、マグネシウムとアルミニウムの、中性子過剰な2種の同位体が見つかったことは、この限界を決める研究の重要な一歩となりそうだ。安定性の限界にある「ドリップライン」核であると予測されていた40Mgと42Alが、米国立超伝導サイクロトロン研究所のサイクロトロン施設で創り出された。42Alの発見は、中性子過剰度の高いアルミニウム同位体の安定性は、マグネシウムに比べて増大していることを示す最初の実験結果であり、中性子のドリップラインは、安定な同位体から予想以上に遠く離れたところにある可能性を示している。この発見からすると、現在稼働中および計画中の大多数の研究設備では、原子番号12以上の核のドリップラインには到達できないかもしれない。

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