Nature ハイライト

化学:強力な質量分析法

Nature 449, 7165

質量分析法は、生体分子の検出法としては大変有力だが、既存の方法には、感度の不足や、分析物のイオン化を促進するためマトリックス分子が必要であることなど、いくつかの欠点がある。レーザーあるいはイオンビームを用いてナノスケールのカプセルから物質を蒸発させる新しい画期的な方法は、こうした限界を克服できそうだ。この新しい方法では、特別に作られた表面に「イニシエーター」分子が閉じ込められており、照射を受けるとこれが激しく噴出する。この噴出によって、表面に吸着しておいた分析物分子がイオン化されて放出され、分析物の測定が可能になる。NIMS(nanostructure-initiator mass spectrometry)と名づけられたこの方法は非常に小さな領域を極めて高い感度で分析できるため、ペプチドマイクロアレイ、血液、尿、単一細胞の分析に使え、また組織イメージングにも利用できそうだ。

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