Nature ハイライト

Cover Story:迫り来る暑さ:大気中の褐色の雲は気候温暖化を促進する

Nature 448, 7153

INDOEX(Indian Ocean Experiment: 1997-1999)の期間中にアラビア海の上空で初めて発見された褐色の濃いもやは南アジアの乾季に持続してみられる特徴であることが、2001年までに明らかになった。2002年の国連環境計画の報告書では、もしもバイオマス火災などのこのもやの原因が制御されないとすると、気候系の大きな破綻が起こることが懸念されていた。それ以後、NASAのTERRA衛星は他の地域でも大気中の褐色の雲(ABC)を検出してきている。ABCが原因で起こる、太陽光による大気加熱と地表面の薄暮化は共に気候変化を推し進め、こうした変化の定量化には、今週号で発表された2つのデータセットのような直接観測データが必要である。1つ目のデータセットは、インド洋上空で自動操縦式の無人航空機3機をそれぞれ違う高度で旋回させて太陽光による加熱を測定したものである。2つ目は、CALIPSO衛星がインド洋からヒマラヤにかけて、3 kmの厚さのもやを追跡した観測結果である。これらのデータを用いた気候モデルの作製によって、ABCが引き起こす大気温暖化は温室効果ガスによる温暖化に似ていることが示唆され、これがヒマラヤの氷河の原因となっている可能性も示された[Letter p.575, News & Views p.541, www.nature.com/podcast]。

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