Nature ハイライト

進化:ミクロな規模のマクロな進化

Nature 448, 7153

種の起源の遺伝的基盤とはどのようなものだろうか。古典的ダーウィニズムの「小突然変異説」では、新たな種は多数の遺伝子に起きた小さな変化の蓄積によって祖先種と違うものになると考えている。しかし、「大突然変異説」を支持する例も数多くある。すなわち、大きく急激な変化が遺伝子に、とりわけ発生にかかわる遺伝子に起こったことにより重大な差異が生じたという説だ。だが、正解はどうやら、この2つの極論をミックスしたもののようだ。McGregorたちは、shavenbaby遺伝子に注目した。この遺伝子は、ショウジョウバエの種間での剛毛パターンに違いが生じる原因であることが知られている。McGregorたちは、種特異的な剛毛パターンを生み出すのに、3種類の遺伝子エンハンサー間の相互作用が必要なことを見いだした。そして、種を分けるような大きな影響をもつ遺伝子は時として、いくつかの遺伝子に起こった、小さな影響を及ぼす複数の突然変異の蓄積を反映している可能性があると結論している。つまり、これまで小突然変異説派と大突然変異説派に分かれていたのは、単に同じデータを異なるスケールでみていたためなのかもしれない。

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