Nature ハイライト

Cover Story:細胞療法の進展:パーキンソン病の再生治療の安全性が治験で確認された

Nature 641, 8064

パーキンソン病は、神経伝達物質であるドーパミンを産生するニューロンが徐々に失われることを特徴とする疾患である。現行の治療法は疾患初期の症状を軽減できるものの、時間とともに効果が低下する。有望な治療法の1つは、ドーパミン産生ニューロンの数を補充するのを助ける細胞を脳内に直接移植する手法である。今週号では、高橋淳(京都大学)たちとV Tabarたちが、そうした治療法の安全性を確認するためにそれぞれ独立に行った臨床試験の有望な結果を報告している。高橋たちはヒト誘導多能性幹(iPS)細胞由来のドーパミン前駆細胞を、Tabarたちはヒト胚性幹(ES)細胞由来のドーパミン前駆細胞を用いている。いずれの試験も期待の持てる結果が得られており、治療による深刻な有害事象は報告されず、この手法が安全であることが示唆された。また、効果についてもいくらかの兆候は観察されたものの、真の有効性を評価するにはより大規模な試験が必要である。表紙は、脳内に移植されたドーパミン産生ニューロン(金色)の想像図である。

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