Nature ハイライト

生化学:リボスイッチを薬の標的に

Nature 441, 7097

遺伝子は一般に、細胞内のシグナルに応答するタンパク質因子によってオン・オフが切り替えられる。しかし最近、一部のメッセンジャーRNA内部にリボスイッチとよばれる調節要素があるのが発見され、RNAも重要な代謝産物の存在を感知して遺伝子を制御することがわかった。今回2つの構造生物学的研究から、リボスイッチシステムについての新たな知見が得られた。Serganovたちは、標的であるビタミンB1誘導体に結合した大腸菌のリボスイッチの三次元構造を、X線回折によって確定した。その結果から、RNAが折りたたまれて標的がぴったりと収まるポケットを形成する仕組みと、抗生物質のピリチアミンがリボスイッチを巧みに欺いて作用するようすが明らかになった。この発見はリボスイッチを標的とする新しい抗菌剤や抗真菌剤の設計に役立ちそうだ。MontangeとBateyは、S-アデノシルメチオニンに結合した細菌のリボスイッチRNAの構造を解明した。このRNAの複雑な折りたたみ構造から、リガンドの結合によってどのような構造変化が起き、それ以降の転写が妨げられるかが明らかになった。

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