Nature ハイライト

宇宙:続々と見つかる古いガンマ線バースト

Nature 440, 7081

宇宙がようやく9億歳になったころに起きた非常に大規模な爆発が、つい先ごろ観測された。今週号では3つの研究チームが、2005年9月に観測されGRB 050904と命名された、現在のところ最古となる爆発の観測結果を報告している。  この爆発は約128億年前に発生し、強力なガンマ線の閃光を放出したことから、ガンマ線バースト(GRB)とよばれている。GRB 050904のような爆発は数秒〜数分間持続し、大質量星の崩壊により発生するもので、おそらくそれによってブラックホールが形成されると考えられている。  このような明るい現象は非常な遠方にあっても検出することができる。遠いというのはこの場合、はるかな過去を見ているのと同じである。それは、非常に遠方の天体からの光が我々のところに到達するまでには何億年もかかるからだ。GRB0 50904は、これまで発見されたどんなガンマ線バーストよりもはるかに遠くで起こっており、したがってはるかに古い現象である。このガンマ線バーストは、宇宙の始まり直後に生じた閃光のようなものである。そのため初期宇宙の様子について何らかの手がかりを与えてくれる可能性がある。  G Cusumano率いる国際共同研究チームは、スウィフト衛星を使ったGRB 050904の観測結果を報告している。D Reichartたちは、赤外領域の残光の観測結果を使ってこのバーストの赤方偏移を推定した。そして河合誠之をリーダーとする日本の研究チームが、可視領域および赤外領域のスペクトルを使って赤方偏移を正確に決定した。

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