Nature ハイライト

環境:有機物質上での光化学反応

Nature 440, 7081

植物の分解産物で複雑な有機物質であるフミン酸が、大気中の亜硝酸の生成にかかわっていることがわかった。大気中の亜硝酸は、いわゆるヒドロキシラジカルの前駆物質となる。ヒドロキシラジカルは大気下層(対流層)に含まれる大気汚染物質の多くの分解にかかわっている。  K Stemmlerたちは、大気中の亜硝酸濃度が日中に高くなる機構を明らかにしようと、天然の土壌試料に加えて、フミン酸の薄膜を光の当たっている条件と当たっていない条件で二酸化窒素にさらす実験を行った。これにより、フミン酸薄膜上で起こる光化学反応によって二酸化窒素が亜硝酸に変化することが明らかになった。Stemmlerたちは、このようにして生成する亜硝酸によって、最近観測された日中の亜硝酸濃度の高さが説明できると考えている。  自然環境ではフミン酸や他の有機物質が地表に広く分布していることを考えると、この新たに発見された生成機構は、対流圏の化学反応に大きな影響を与えている可能性がある。

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