Nature ハイライト

気候:雪の量は森林の炭素吸収能力に影響する

Nature 439, 7077

気候と生物圏の間で気候変動を悪化させるのではなくむしろ緩和する、負のフィードバックをもたらす要因が今週号に報告されている。  気候変動と地球規模の生態系の間に存在することがわかっている関係の多くは、事態の悪化を招く方にだけ働いている。つまり、温暖化はさらなる温暖化の原因となるのだ。二酸化炭素は主要な温室効果ガスであるが、R Monsonたちは冬季に地面に降り積もった雪が少ないと、温帯の森林から大気中に放出される二酸化炭素の量が減少することを報告している。光合成を行って植物が生育するため、森林は年間を通して二酸化炭素の正味の吸収源となっており、吸収量は放出量を上回っている。しかし、森林の成長する時期に吸収される二酸化炭素の一部は、冬になると土壌中の微生物の呼吸によって再び放出される。  積雪によって土壌が覆われると放熱が遮られ、その結果土壌の温度がより高くなると微生物の呼吸速度が高まる。だが、積雪が少なければ呼吸量は減り、その結果二酸化炭素の放出量が減ると思われる。Monsonたちはロッキー山脈の森林で温度、積雪の深さおよび土壌呼吸の測定を行い、このことを確かめた。したがって、暖冬のために積雪が少ない場合、その年を通して森林の生態系によって吸収される正味の二酸化炭素の量はより多くなる。

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