Nature ハイライト

進化:中国で見つかったティラノサウルス類の「鼻祖」

Nature 439, 7077

あの恐ろしげなティラノサウルス・レックスを含む恐竜分類群の最も原始的な仲間を中国の化石ハンターたちが見つけた。この全長(頭から尾の先まで)3 mの恐竜は中国北西部のジュンガル盆地で出土したもので、おそらく最古のティラノサウルス上科恐竜である。恐竜の進化には非常に不明瞭なところが何カ所かあるが、今回の発見により、その1つについてうかがい知ることができる。  この新種の恐竜の生息年代はT・レックスと異なり、およそ1億5000万年前のジュラ紀後期である。T・レックスは、ハリウッド映画の大ヒット作『ジュラシック・パーク』に登場したが、実際の生息年代はジュラ紀より新しい白亜紀後期だった。とはいえ、この化石について報告しているX Xuたちによれば、四肢のいくつかの特徴がもっと後の恐竜と共通していることから、この新種もやはり獰猛な肉食恐竜だったらしい。  この恐竜の頭蓋には、こうした原始的な動物には珍しい巨大な鼻陵があることも報告された。この構造はクジャクの尾羽やシカの枝角のような誇大な性的装飾の一種かもしれないと、Xuたちは推測している。

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