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生態学:ハナバチの死亡率に対する複数のストレッサーの相乗的影響

Nature 596, 7872

農薬の影響で命を落としたミツバチ。
農薬の影響で命を落としたミツバチ。 | 拡大する

RHJ / iStock / Getty Images Plus

ハナバチ個体群の世界的な減少が食料安全保障と野生生態系を脅かしている。こうした個体群の減少は、農薬、寄生虫、栄養的ストレッサーの相互作用的影響によって促進されていると考えられているが、そうした相互作用を調べた研究ではそれぞれ異なる結果が得られている。今回H Siviterたちは、農薬、寄生虫、栄養的ストレッサーが、ハナバチの健康に及ぼす相互作用的影響のメタ解析を行った。その結果、ハナバチが野外の現実的なレベルで複数の農薬に曝露された場合に、ハナバチの死亡率に「相乗的影響(ストレッサーの組み合わせによる影響が、想定される相加的影響を大きく上回る)」が認められることが分かった。一方、ハナバチが寄生虫や栄養的ストレッサーに曝露された場合の相互作用は、相加的期待値を超えるものではなかった。農薬への曝露の相加的影響を想定した環境リスク評価計画は、ハナバチの死亡率に対する人為的ストレッサーの影響を過小評価している可能性がある。

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