Nature ハイライト

生理学:微生物がもたらす行動の変化

Nature 593, 7860

栄養失調は差し迫った世界的な健康問題である。これまでの研究から、腸のマイクロバイオームと宿主の栄養状態が互いに影響し合っていること、また、動物は食餌由来のタンパク質が不足すると、非必須アミノ酸を含む食餌よりも必須アミノ酸を含む食餌を好むようになることが示されている。今回G Suhたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、行動の変化につながり、部分的に腸の微生物相によって駆動されるアミノ酸感知機構を明らかにしている。食餌由来の必須アミノ酸や微生物相によって産生される必須アミノ酸が欠乏したハエでは、Gcn2経路やTor経路を介して、中腸前部の腸細胞での神経ペプチドCNMアミド(CNMa)の発現上昇が起こり、これが次いで、CNMa受容体を発現するニューロンの活動を介して摂食行動を調節することが示された。

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