Nature ハイライト

ナノスケール材料:自己生分解性ポリエステル

Nature 592, 7855

酵素をポリエステルに埋め込むことによって、その生分解を促進できることが知られている。しかしこれまでの取り組みでは、生分解に伴い、材料特性も損なわれ、非晶質領域の選択的分解によって生物に有害な結晶性マイクロプラスチックが形成される可能性が高まる結果となっている。今回T Xuたちは、半結晶性ポリエステルのポリマー鎖の末端にごく少量のリパーゼ酵素を慎重に分散させると、構造特性が損なわれなくなることを実証している。加えて、このポリエステルの寿命が尽きると、鎖の末端を介した酵素生分解によって非晶質領域も結晶領域も容易に分解され、ほぼ全てのマイクロプラスチックが除去される。今回の知見は、酵素を埋め込む方法を介して、完全生分解性プラスチックがどのように実現され得るかを示している。

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