Nature ハイライト

Cover Story:特集:2020年を振り返る:今年の重要人物10人

Nature 588, 7839

困難に満ちた2020年が幕を閉じようとしている。過去12か月を振り返り、今年も「Natureが選んだ10人」の科学者が発表された。今年の10人の多くは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに取り組んだ人々で、激しい批判を浴びながらも各国をまとめてCOVID-19の脅威に対処した世界保健機関事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus、COVID-19の診断検査法を開発して国内の感染と死のカスケードの回避に役立てたウルグアイのウイルス学者Gonzalo Moratorio、210日という記録的な速さでSARS-CoV-2ワクチンの開発に成功し、世界に希望をもたらした米国ファイザー社のワクチン研究開発責任者Kathrin Jansen、武漢市でのCOVID-19流行初期にSARS-CoV-2のRNA配列を迅速に決定・公開した中国のウイルス学者Zhang Yongzhen、武漢市でのCOVID-19大流行の兆候をすぐに認識し、春節前にロックダウンを実現させて感染拡大の抑制を助けた中国の疫学者Li Lanjuan、迅速かつ厳格な対応でCOVID-19の抑え込みに成功したニュージーランドの首相Jacinda Ardern、米国政府のCOVID-19対応の顔となり、誤情報を否定して信頼できる情報を人々に与え続けた国立アレルギー・感染症研究所の所長Anthony Fauciが選ばれた。COVID-19関連以外で科学に重要な貢献をした人々としては、北極海でのMOSAiCプロジェクトで約300人の研究者をさまざまな危険から守るために尽力した後方支援の責任者Verena Mohaupt、共生細菌を利用したデング熱対策の大規模試験を率いたインドネシアの公衆衛生の研究者Adi Utarini、人種差別問題の意識を高めるために科学界でのストライキを計画した米国の宇宙論学者Chanda Prescod-Weinsteinが選ばれている。おそらく意外ではないだろうが、表紙は、今年最大の話題であったCOVID-19のパンデミックとSARS-CoV-2ワクチンの探求を表現している。SARS-CoV-2を理解し、それと闘うために世界中の科学者たちが努力を重ねた結果、前例のない速さで候補ワクチンに認可が下りており、世界がこのウイルスの魔手から救われるという希望がもたらされた。

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