Nature ハイライト

幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる

Nature 583, 7817

骨髄移植の際、造血幹細胞は特殊化した血液細胞を生み出す前駆細胞に分化することで、骨髄を再構築する。単一細胞RNA塩基配列解読研究はこれまでに、さまざまなタイプの血液系細胞の遺伝子発現シグネチャーの特性解析を可能にしてきたが、このようなアッセイは特定の時点における遺伝子発現しか明らかにできず、細胞の過去の履歴や起源についての情報は得られない。F Camargoたちは今回、移植前の単一の造血幹細胞にさまざまな独特のバーコードを導入して、細胞の履歴と遺伝子発現のシグネチャーを結び付けることをできるようにした。これによって、特定の分化能に関連した遺伝子発現変化の調査結果が示されただけでなく、TCF15が造血幹細胞の静止状態と自己再生の調節因子であることが明らかになった。この研究は、骨髄移植の間に起こる細胞分化と関連した遺伝子発現変化の単一細胞レパートリーを提供しており、造血系の主要な調節因子の発見におけるこの手法の有用性を実証している。

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