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幹細胞:単一細胞の細胞系譜追跡で明らかになった造血におけるTCF15の役割

Nature 583, 7817 doi: 10.1038/s41586-020-2503-6

骨髄移植療法は、造血幹細胞(HSC)が生涯にわたって有する再生能力に依存している。HSCは、クローンレベルで複雑で多様な再生挙動を示すが、この多様性の根底にある機構についてはまだ分かっていない。最近の単一細胞RNA塩基配列解読技術の進歩により、HSC間での転写の違いが明らかになり、これによってHSC機能の不均一性が説明できる可能が出てきた。しかし、塩基配列解読アッセイでは細胞が破壊されるため、幹細胞の状態や機能を同時に観察することができない。我々はこの難題を解決するために、レンチウイルス発現バーコーディングを行った。この手法は、長期的な骨髄再構築の間に、成体の単一のHSCとそれらのクローンの軌跡について、細胞系譜とトランスクリプトームの同時解析を可能にする。独特な挙動を示すクローン間での遺伝子発現の差異の解析から、長期再構築能を持つ機能的なHSCを特徴付ける固有の分子シグネチャーが明らかになった。in vivo CRISPRスクリーニングによってこのシグネチャーを調べたところ、転写因子TCF15が、HSCの静止期と長期的な自己複製を促すために必要かつ十分であることが分かった。in situで、Tcf15の発現は、真に多能性のHSCの最も原始的なサブセットを標識する。結論として、我々の研究は、機能的な幹細胞不均一性と関連するクローン固有の分子プログラムを明らかにし、HSCの自己複製状態を維持する機構を特定している。

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