Nature ハイライト

ウイルス学:センザンコウは複数系統のコロナウイルスを保有している

Nature 583, 7815

Y Guanたちは今回、広西税関での密輸取り締まり中に押収された数匹のマレーセンザンコウ(Manis javanica)において、SARS-CoV-2に近縁な複数のコロナウイルスを検出したことを報告している。18匹のセンザンコウのうち5匹でコロナウイルスが検出され、そこから完全あるいはほぼ完全な6例のゲノム塩基配列が得られ、それらがSARS-CoV-2と約85.5~92.4%の塩基配列類似性を持つことが分かった。また、広西の別の12匹のうちの3匹と、広州のさらに1匹のセンザンコウにおいても同様のコロナウイルスが検出された。これらのセンザンコウコロナウイルスとSARS-CoV-2の間の塩基配列類似性の程度は、センザンコウが現在のSARS-CoV-2のアウトブレイク(集団発生)に直接関与する中間宿主であることを示すには十分ではないが、センザンコウにおける近縁なウイルスの検出は、センザンコウがコロナウイルスの群集生態学において役割を担っている可能性があり、また、今後の人獣共通感染症の伝播リスクを回避するために、生鮮市場でのセンザンコウの売買を厳しく禁止すべきであることを示している。

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