Nature ハイライト

化学:原子が動いて結合を形成する様子の観察

Nature 582, 7813

化学反応中の原子核ダイナミクスを実験的に直接追跡することは、A–B + C → A + B–Cという単純な反応であっても困難である。今回H Iheeたちは、X線自由電子レーザーを用いるフェムト秒X線溶液散乱法(liquidography)で、光励起によって水溶液中で三量体金錯体が形成される際に金原子が移動する様子をマッピングできることを示している。測定の結果から、最初の60フェムト秒で、等間隔ではない3つの単量体からなる初期クラスターにおいて最近接単量体間で共有結合が形成され、続いて360フェムト秒以内に2つ目の共有結合が形成されて、共有結合でつながった直線型の三量体錯体が生成されることが明らかになった。今回の手法は、特に次世代X線源によって金などの重原子だけでなく炭素や窒素などの軽原子の動きを追跡できるようになれば、興味深いさまざまな反応に応用できるはずである。

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