Nature ハイライト

進化学:脊椎動物の手の起源

Nature 579, 7800

エルピストステゲの想像図。
エルピストステゲの想像図。 | 拡大する

Credit: Katrina Kenny

四肢類(肢が4本の脊椎動物)の祖先に近縁な化石魚類であるエルピストステゲ(Elpistostege)の、全長1.57 mに及ぶ既知で最も完全な標本が発見され、陸生脊椎動物への進化について新たな手掛かりがもたらされた。エルピストステゲは、パンデリクティス(Panderichthys)およびティクタアリク(Tiktaalik)と共にエルピストステゲ類を構成する。これらの魚類の一部(特にパンデリクティスとティクタアリク)からは多くの情報が得られているが、いずれの標本からも、後に手へと進化を遂げる胸鰭の完全な骨格構造はこれまで明らかにされていなかった。今回J Longたちは、この新たな標本の胸鰭についてCT(コンピューター断層撮影)スキャンを行い、四肢類の手首や指の骨に似た配置の骨格パターンを明らかにしている。エルピストステゲの胸鰭には魚類に典型的な鰭条が残っているが(四肢類では失われている)、内部では手首と手の要素が著しく進化しており、これらの魚類が陸上へと進出して四肢類になった際に、いつでも表面化できる状態にあったと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度