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進化学:エルピストステゲと脊椎動物の手の起源
Nature 579, 7800 doi: 10.1038/s41586-020-2100-8
魚類から四肢類(肢が4本の脊椎動物)への進化は、脊椎動物の進化において最も重要な変化の1つである。四肢類の起源に関する仮説は、中期および後期デボン紀(3億9300万~3億5900万年前)の数少ない四肢類様魚類の化石の解剖学的構造に大きく依存している。エルピストステゲ類として知られるタクソンには、パンデリクティス(Panderichthys)、エルピストステゲ(Elpistostege)、ティクタアリク(Tiktaalik)が含まれるが、いずれの標本からも胸鰭の完全な骨格構造はいまだ明らかにされていない。本論文では、カナダの後期デボン紀の地層から出土したエルピストステゲの一種E. watsoniの、関節のつながった全長1.57 mの標本について報告する。これは我々の知る限り、これまでに発見された中で最も完全なエルピストステゲ類の化石標本である。高エネルギーCT(コンピューター断層撮影)によって、胸鰭の骨格には、近位から遠位の方向に4列の放射骨(うち2列は分岐した手根骨を含む)が並び、遠位には指および指と推定される要素が2列あることが明らかになった。この骨格パターンは、これまで胸鰭に発見されている中で最も四肢類に近い骨の配列だが、この胸鰭は放射骨の遠位に鱗状鰭条も保持していた。我々は、脊椎動物の手は主として、エルピストステゲ類のごく典型的な遊泳用の胸鰭の内部に埋もれた骨格パターンから生じたと提案する。エルピストステゲは他の全ての四肢類と姉妹タクソンの関係にある可能性があり、その付属肢の特徴によって魚類と陸生脊椎動物との境界線はさらに曖昧なものとなった。

