Editorials
米中による共同研究は2020年をピークに減少しつつあるが、両国は自国の利益を守りつつ、国際的な脅威に力を合わせて取り組むべきだ。
How the US–China science freeze threatens climate disaster p.7
doi: 10.1038/d41586-022-03473-2
博士課程の学生および大学院生を対象としたNatureによる調査で、インフレによる生活費の高騰など、経済的な不安が大きく広がっていることが明らかになった。
The scandal of researchers paid less than a living wage p.8
doi: 10.1038/d41586-022-03472-3
News
どのようなCOVID-19研究を「バイオハザード」とするのか、その指針が不明確なことが研究の妨げに。
Which COVID studies pose a biohazard? Lack of clarity hampers research p.17
doi: 10.1038/d41586-022-03344-w
2019年にノーベル医学生理学賞を受賞したGregg Semenzaが共著者となっている近年の複数の論文の画像に、不適切な処理が。
Dozens of papers co-authored by Nobel laureate raise concerns p.19
doi: 10.1038/d41586-022-03032-9
3期目を迎えた中国・習近平国家主席が、中国共産党の第20回全国代表大会で、科学とイノベーションが国の成長を牽引するというビジョンを。
What Xi Jinping’s third term means for science p.20
doi: 10.1038/d41586-022-03414-z
「Forest Declaration Assessment」という森林に関する世界目標の進捗評価報告書で、森林の消失の速度は鈍化しているが、気候変動対策の目標達成には不十分であることが明らかに。
Deforestation slowed last year — but not enough to meet climate goals p.22
doi: 10.1038/d41586-022-03372-6
現在、多くの科学出版社がCOVID-19関連の論文を無料で公開しているが、この状況がいつまで続くかが話題に。
COVID research is free to access — but for how long? p.23
doi: 10.1038/d41586-022-03418-9
News Features
生物学を支配する変幻自在の液滴
The shape-shifting blobs that shook up cell biology p.24
細胞内に奇妙な液滴が存在することが発見されたのは10年以上前のことだが、近年、「生体分子凝縮体」と呼ばれるこうした普遍的な液滴が、どのように形成され、どのような働きをしているのかを解き明かそうと研究が進められている。
doi: 10.1038/d41586-022-03477-y
News & Views
気候科学:氷河に口火を切られた火山活動が海洋の健全性を傷付けた
Glaciers sparked volcanism that harmed ocean health p.35
今回、アラスカから得られた過去2万年にわたる堆積物記録によって、氷河の融解が火山活動の引き金となり、これが太平洋北東部の酸素を除去したことが示唆され、数千年間続いた「酸欠海域」が説明された。
doi: 10.1038/d41586-022-03456-3
古生物学:ジュラ紀のひときわ優れた化石トカゲ
An exceptional fossil lizard from the Jurassic period p.36
トカゲ類とヘビ類は、有鱗類と呼ばれる非常に成功した爬虫類のグループに属しているが、化石記録が少ないため、初期の進化史はよく分かっていない。今回、この「生命の樹」の謎めいた枝に光を当てる発見がなされた。
doi: 10.1038/d41586-022-03364-6
フォトニクス:電子がワイヤーをレーザーに似た光源に変える
Electrons turn a piece of wire into a laser-like light source p.38
今回、レーザー光を鉄のワイヤーに照射すると、高速で移動する電子が生成され、ワイヤーと相互作用する光が生み出す電磁波が増強された。レーザーに似た光を生み出すこの方法は、電子を用いる既存の方法を凌駕する可能性がある。
doi: 10.1038/d41586-022-03455-4
生態学:熱波に直面している動物種の引き返し限界点
The point of no return for species facing heatwaves p.39
極端な温度への曝露が気候に駆動されて増えると、死が早まる。そうした損失を予想するには、生物が高温のストレスにどのくらい早く屈するのか知る必要がある。今回、高温障害の速度が種によってどのように異なるかを示す研究が行われた。
doi: 10.1038/d41586-022-03365-5
細胞生物学:膜タンパク質の意外な集合
Assembly surprise for membrane proteins p.40
膜貫通型タンパク質は、細胞で多くの重要な役割を果たしている。今回、新たな知見によって、そうしたタンパク質が動物の細胞膜に挿入される経路に関する現在の理解に疑問が投げ掛けられた。
doi: 10.1038/d41586-022-03221-6
Articles
原子物理学:高電荷イオンを用いた光原子時計
An optical atomic clock based on a highly charged ion p.43
doi: 10.1038/s41586-022-05245-4
光物理学:実空間光渦の自発的生成と能動的操作
Spontaneous generation and active manipulation of real-space optical vortices p.48
doi: 10.1038/s41586-022-05229-4
フォトニクス:自由電子ポンピングによる表面プラズモンポラリトンのコヒーレント増幅
Coherent surface plasmon polariton amplification via free-electron pumping p.55
doi: 10.1038/s41586-022-05239-2
エネルギー科学:ひずみを抑制する整合的なペロブスカイト相によって安定化されたNiリッチカソード
Strain-retardant coherent perovskite phase stabilized Ni-rich cathode p.61
doi: 10.1038/s41586-022-05238-3
材料科学:毛管力を用いて微小物体を操作する、3D印刷されたマシン
3D-printed machines that manipulate microscopic objects using capillary forces p.68
doi: 10.1038/s41586-022-05234-7
気候科学:コルディレラ氷床の後退の際に海洋貧酸素化の引き金となった火山活動
Volcanic trigger of ocean deoxygenation during Cordilleran ice sheet retreat p.74
doi: 10.1038/s41586-022-05267-y
環境科学:耕作地のリン使用と持続可能性の課題の世界的傾向
Global trends of cropland phosphorus use and sustainability challenges p.81
doi: 10.1038/s41586-022-05220-z
地球科学:地球の深部マントルのブリッジマナイトへのカルシウムの溶解
Calcium dissolution in bridgmanite in the Earth’s deep mantle p.88
doi: 10.1038/s41586-022-05237-4
生態学:地球温暖化に伴う外温動物の高温障害発生速度の極端な上昇
Extreme escalation of heat failure rates in ectotherms with global warming p.93
doi: 10.1038/s41586-022-05334-4
古生物学:ステム群トカゲのシンクロトロン断層撮影が明らかにする初期の有鱗類の解剖学的構造
Synchrotron tomography of a stem lizard elucidates early squamate anatomy p.99
doi: 10.1038/s41586-022-05332-6
ゲノミクス:6万6083例のヒトゲノムにおける核に埋め込まれたミトコンドリアDNA塩基配列
Nuclear-embedded mitochondrial DNA sequences in 66,083 human genomes p.105
doi: 10.1038/s41586-022-05288-7
遺伝学:脳卒中の遺伝学的解析から得られた創薬ターゲット導出と複数祖先集団にわたるリスク予測
Stroke genetics informs drug discovery and risk prediction across ancestries p.115
doi: 10.1038/s41586-022-05165-3
神経科学:レジリエンスの行動的シグネチャーとドーパミン作動性シグネチャー
Behavioural and dopaminergic signatures of resilience p.124
doi: 10.1038/s41586-022-05328-2
植物科学:植物のTIR1/AFBオーキシン受容体のアデニル酸シクラーゼ活性
Adenylate cyclase activity of TIR1/AFB auxin receptors in plants p.133
doi: 10.1038/s41586-022-05369-7
免疫学:重症COVID-19でのナイーブB細胞の調節異常とde novo自己反応性
Dysregulated naive B cells and de novo autoreactivity in severe COVID-19 p.139
doi: 10.1038/s41586-022-05273-0
腫瘍免疫学:LRRC15+筋繊維芽細胞は間質の設定点を決定して腫瘍免疫を抑制する
LRRC15+ myofibroblasts dictate the stromal setpoint to suppress tumour immunity p.148
doi: 10.1038/s41586-022-05272-1
がん:切除可能な黒色腫におけるネオアジュバントのレラトリマブとニボルマブ
Neoadjuvant relatlimab and nivolumab in resectable melanoma p.155
doi: 10.1038/s41586-022-05368-8
細胞生物学:複数回膜貫通型タンパク質に対する膜内シャペロンの作用機構
Mechanism of an intramembrane chaperone for multipass membrane proteins p.161
doi: 10.1038/s41586-022-05336-2
細胞生物学:複数回膜貫通型タンパク質のためのトランスロコン構築は基質によって促進される
Substrate-driven assembly of a translocon for multipass membrane proteins p.167
doi: 10.1038/s41586-022-05330-8
細胞生物学:非カノニカルなβアドレナリン系によるエンドソームでのERK活性化
Non-canonical β-adrenergic activation of ERK at endosomes p.173
doi: 10.1038/s41586-022-05343-3
構造生物学:ベストロフィン2とグルタミンシンテターゼはグルタミン酸を放出するための複合体を形成する
Bestrophin-2 and glutamine synthetase form a complex for glutamate release p.180
doi: 10.1038/s41586-022-05373-x