【疫学】電子的医療記録をもとに構築された疾患のネットワーク
Nature Communications
2014年6月25日
電子的な入通院記録の大規模な解析が行われ、さまざまな疾患の一般的な進行過程の解明が進んだ。この解析研究には、15年間にデンマーク国内の病院に受診した患者のデータセット1億件以上が組み込まれ、これまで解明されていなかった複数の疾患のつながりを明らかにし、今後の臨床試験の計画に新たな情報をもたらす上で役立つ可能性がある。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
国民全体にわたる医療データの解析は困難な作業であるため、特定の疾患群や比較的短い時間スケールに絞って行われることが多い。
今回、Soren Brunakたちは、デンマーク国立患者レジストリ(Danish National Patient Registry)に登録された15年間のデータを用いて、これまでで最大規模の医療データの解析を行った。このレジストリは、デンマーク国民全員を対象としており、1996~2010年の病院での受診記録が登録されている。そして、Brunakたちは、1億件以上の個別の診断をいわゆる「疾患軌跡」に分類した。疾患軌跡は、1つの診断または疾患の後に別の診断や疾患が生じる可能性を示している。
今回の解析の結果、1,171種の疾患軌跡が導き出され、ここには、大部分のありふれた疾患とその臨床展開(例えば、狭心症から慢性虚血性心疾患を経て心停止に至る)の包括的な全体像を示しており、臨床医、疫学研究者や「ビッグデータ」研究者にとって有益なものとなる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms5022
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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