Research Press Release

【生態】昆虫の個体群に対する地球温暖化の影響

Nature Communications

2014年5月28日

ヨーロッパ全土での昆虫種の分布が昆虫の体色と環境温度に依存していることが明らかになった。この研究結果は、昆虫に対する気候変動の影響を予測する手段となる可能性がある。その詳細を報告する論文が、今週掲載される。

昆虫などの冷血生物の場合、明るい体色であることは、高体温を防ぐ上で役立っている。これに対して、広範な昆虫の分布に対する気候の影響は解明されていない。

今回、Dirk Zeussたちは、ヨーロッパのチョウとトンボの翅と胴体の色を解析し、色の明暗がそれぞれ温暖な気候と寒冷な気候と関連していることを明らかにした。それに加えて、ヨーロッパ全土での明色と暗色のトンボ種の分布が1988~2006年の間に変化しており、それが、観測された年平均気温の変化と一致していることも明らかになった。

今回の研究は、生態系に対する気候変動の局所的、全球的影響に関する手掛かりをもたらしており、保全戦略にとって意義深い。また、この研究で得られた知見は、地球温暖化に伴う昆虫種の分布変化がある程度予測可能なことを示している。例えば、暗色の体の昆虫種は、寒冷な地域へ移動するか、日陰の多い生息地での生活に行動を変えると予測できるだろう。

doi:10.1038/ncomms4874

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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