Research Press Release
【ナノテクノロジー】ナノ粒子への曝露の影響が皮膚を通して分かる
Nature Communications
2014年5月14日
マウスの皮膚を観察するだけで、体内のナノ粒子の分布が分かるという手法が開発された。周辺光や紫外光を用いて、さまざまな種類のナノ粒子を皮膚を通して見るという手法だ。この方法は、特定の場合に健康に負の影響を及ぼすナノ粒子への全身性曝露を予測するための簡易な手段となる可能性がある。この成果を報告する論文が、今週掲載される。
医学研究などでナノ粒子を機能性材料として利用することが増えているが、ナノ粒子への長期的曝露後の健康影響の可能性に関して懸念が生じている。現在のところ、ナノ粒子の体内被ばくを定量化するには、体内組織の単離とサンプリングが必要となる。今回、Warren Chanたちは、マウスの体内でのナノ粒子の挙動を調べる研究を行い、蛍光ナノ粒子を静脈に注射した。その結果、ナノ粒子が体内に蓄積し、皮膚を通した観察が可能となった。また、皮膚に含まれるナノ粒子の濃度が、注射されたナノ粒子の量と他の臓器での蓄積量と直接相関することが明らかになった。今回の発見は、体内でのナノ粒子の挙動の予測に役立つ方法となることが期待される。
doi:10.1038/ncomms4796
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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