Research Press Release
ダウン症候群患者におけるHMGN1の過剰発現が白血病の発症につながる
Nature Genetics
2014年4月21日
マウスとヒト細胞を用いた研究で、ダウン症候群とB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の関連について、その遺伝的原因が明らかになった。この研究では、ダウン症候群患者のB-ALLを治療する際の有望な薬物標的も同定された。この成果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
ダウン症候群の患者は、侵襲性の強い白血球のがんであるB-ALLの一種を発症するリスクが通常より20倍高い。今回、David Weinstockたちは、21番染色体上の31個の遺伝子からなる小さな領域が三重化することが、このがんの発生の十分条件であることを見いだした。この研究では、マウスの実験とヒト細胞の実験の組み合わせが行われ、HMGN1というタンパク質の発現量が増加すると、このがんの広がりに必要な複数の遺伝子が活性化することが判明した。HMGN1の発現量増加は、ダウン症候群に併発するB-ALLに特異的で、他の種類のB-ALLには特異的でなかった。
Weinstockたちは、HMGN1の阻害薬がダウン症候群の患者が発症するB-ALLの治療に役立つ可能性があると推論している。
doi:10.1038/ng.2949
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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