Research Press Release
12800年前の寒冷化に遅れた環境の応答
Nature Geoscience
2014年1月20日
約12800年前に急激な寒冷化が起きたヤンガードリアス期に、最初に気温が低下した170年後にヨーロッパで降水量と植生の変化が生じたとの報告が、オンライン版に掲載される。著者たちは、降水量変化は北大西洋の海氷が偏西風の位置に影響を及ぼすのに十分なほど南側に拡大したときのみに起きたと示唆している。
Dirk Sachseたちはドイツ西部で採取された湖の堆積物コアで温度、水文および植生変化の時期を評価した。年周で堆積する堆積層は、水素同位体に記録された初期温度変化からの年数と、水素同位体と花粉含有量に反映された降水量と植生変化を算出するために用いることができる。Sachseたちは、地域全体にわたる降水量は温度が最初に低下した後170年間減少したことを発見した。この降水量の減少は、湿度の低下に適応する植物種の拡大を伴った。
関連するNews & Viewsでは、Ana Morenoが「この研究は、人間の寿命の2~3世代にわたる期間で急速な環境変化が起こる可能性を強調している」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2053
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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