Research Press Release
【遺伝】膵神経内分泌腫瘍に関連する遺伝子変異
Nature Communications
2013年12月11日
インスリンを分泌する膵神経内分泌腫瘍であるインスリノーマについて、研究対象となった患者の30%に遺伝子変異が見られ、この遺伝子変異によって糖尿病の特徴が現れることが明らかになった。この新知見は、インスリノーマの発症に関する理解をさらに深めるものであり、治療的介入の手掛かりとなる可能性がある。詳細を報告する論文が、今週掲載される。
インスリンを継続的に分泌する膵神経内分泌腫瘍であるインスリノーマは、膵ベータ細胞に由来している。この腫瘍は、良性のものと悪性のものがあるが、その基盤となる遺伝的異常は、ほとんど解明されていない。今回、Guang Ningたちは、10例のインスリノーマにおける遺伝子の塩基配列解読を行い、Yin Yang 1(YY1)という転写因子に変異のあることを明らかにした。この転写因子は、発生、増殖、分化、腫瘍形成において役割を担っている。さらに、Ningたちは、より大型の103人のインスリノーマ患者集団を対象に、遺伝子の塩基配列解読を行い、この患者の30%において、YY1遺伝子の変異を確認した。しかし、Yin Yang 1の変異型がインスリノーマを引き起こす過程については、明らかになっていない。この新知見で、インスリノーマを引き起こす諸事象の研究に新たな道が開かれた。
doi:10.1038/ncomms3810
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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