気候:植物の減少により危機にさらされるアマゾンの文化と知識
Nature
2026年7月9日
気候変動により、アマゾン流域の先住民文化で利用されている在来植物種が約3分の1減少する可能性があることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。文化的に重要な植物の利用可能性の低下は、先住民言語の絶滅予測と相まって、今世紀末までに、アマゾンの植物種の利用に関する記録された知識の4分の1が失われる可能性がある。この研究は、気候変動がアマゾンの生物文化遺産に及ぼす脅威を浮き彫りにしている。
アマゾンの熱帯雨林は、生物学的および文化的な遺産の中心地であり、地球の陸生生物多様性の10%以上と400以上の先住民グループが存在する。しかし、人間による気候変動が熱帯雨林の遺産にどのような影響を及ぼし得るかを記録した研究は限られている。
Rodrigo Cámara-Leretら(チューリッヒ大学〔スイス〕)は、1504年から2023年にかけての人々によるアマゾンの植物の利用を記録した9万件以上の報告をまとめた。アマゾンの社会では、5800種近くの異なる植物が利用されていることが判明し、これは従来の推定値から2倍に増えたことになる。在来植物種に関する7万6000件以上の文献報告について、著者らは報告が書かれた言語の絶滅危機情報を収集し、その57%が156の異なる先住民言語によるものであり、そのうち56%が絶滅の危機に瀕していることがわかった。
続いて、著者らは、2060年から2080年にかけての気候変動が種の分布に及ぼす影響を、3つのシナリオ:SSP1–2.6(SSP = Shared Socio-Economic Pathway〔共通社会経済経路〕;21世紀半ばまでに気候目標が達成される)、SSP3–7.0(気候変動対策が最小限)、およびSSP5–8.5(最悪のケース、政策なしのシナリオ)についてモデル化した。モデルによると、各シナリオにおける植物種の平均的な地域絶滅率は、それぞれ28%、30%、34%と予測され、減少すると予測された種の中では、利用されている種の割合が、利用されていない種よりも高かった。薬用など、これらの種に関連する地域的なサービスの損失は、3つのシナリオ全体で18%から23%になると予測された。言語が絶滅の危機に瀕している地域では、そうでない地域に比べて、植物種および生態系サービスの損失がより大きくなると予測された。さらに、絶滅の危機にある言語の喪失は、アマゾンに関する知識体系を26%減少させる可能性があり、これが種の喪失と相まって、文化的知識の甚大な損失につながる恐れがある。
著者らは、これらの損失がアマゾンの社会に重大な影響を及ぼすと示唆している、また、これらのデータがアマゾンの生物遺産の保全と回復に向けた出発点となり得ると示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 08 July 2026
Cámara-Leret, R., Roehrdanz, P.R. & Bascompte, J. The forest of knowledge under global change. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10741-y
News & Views: Regenerating people–nature relationships to counter biocultural erosion in the Amazon
https://www.nature.com/articles/d41586-026-01874-1
doi:10.1038/s41586-026-10741-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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