Research Press Release
転移性乳がんにおけるエストロゲン受容体遺伝子の変異
Nature Genetics
2013年11月5日
一部の転移性乳がん症例でエストロゲン受容体をコードする遺伝子が変異していることが、2つの独立した研究で判明した。この新知見は、エストロゲン受容体のアンタゴニストが、一部の転移性乳がん症例で治療効果をもたらす可能性を示唆している。これらの研究に関する2編の論文が、今週オンライン版に掲載される。
Sarat Chandarlapatyたちは、ホルモン療法に耐性を示す36例の転移性乳がんの230個の遺伝子の塩基配列を解読し、そのうちの9例でESR1遺伝子の変異を同定した。そして、44例の転移性乳がんのESR1遺伝子の解析を行い、そのうちの5例で変異を発見した。一方、Arul Chinnaiyanたちは、11例の転移性乳がんのエキソームの塩基配列解読を行い、そのうちの6例でESR1遺伝子の変異を同定した。
いずれの研究グループも培養細胞を用いて、この変異型エストロゲン受容体が、エストロゲンがない場合に活性化し、抗エストロゲン療法に応答することを明らかにした。
doi:10.1038/ng.2822
doi:10.1038/ng.2823
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature