Research Press Release
HIVは、B細胞も活動不能にする
Nature Immunology
2013年10月28日
HIVのウイルス表面に見られる糖タンパク質gp120が、ヒトの抗体産生B細胞を不活化することが明らかになった。この知見によって、HIV患者の抗体応答が抑制される理由が説明できる。
HIVは、CD4+“ヘルパー”T細胞を次第に減少させることが知られており、その結果、患者は免疫系の機能が減退し、他の日和見感染を起こしやすくなる。感染初期のまだT細胞数が比較的正常なときに、どうしてしっかりした抗体応答が起こらないのかは、謎だった。
Claudia Cicalaたちは、宿主B細胞の表面受容体α4-β7を介して、HIVのgp120がB細胞にも直接働きかけることを明らかにした。α4-β7を介した情報伝達は、免疫抑制分子と阻害性受容体の発現を誘導する。gp120によって誘導されるこの応答が、B細胞の機能を大きく損ない、HIVに対する中和抗体の産生能力を低下させるのである。
doi:10.1038/ni.2746
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature