Research Press Release
【古生物学】古代のトカゲにサメの尾に似た構造
Nature Communications
2013年9月11日
ヨルダン中央部で見つかった白亜紀後期のモササウルス(大型のトカゲ類の一種)の化石から水かきのついた尾の存在が判明し、モササウルスがサメのように泳いでいたことが示唆されている。
モササウルス類は、約9800~6600万年前に優占していた海生爬虫類だ。モササウルス類の祖先については、相対立する学説が存在し、それに加えて、化石記録の中に軟組織の証拠がなく、モササウルスのボディープラン(体制)に関する記述と推定が誤っていたために、モササウルスの泳ぎは遅かったという仮説が広まっていた。今回、Lindgrenたちは、極めて良好な状態で保存された軟組織を含む化石標本を解析して、クジラ類と魚竜類(イルカ類に似た海生爬虫類)の尾鰭に似た三日月状の尾鰭を同定した。
Lindgrenたちは、このモササウルスの化石の形態を現生サメ類と比較して、モササウルスが効率よく泳いでいたという結論に達した。今回の研究では、この特徴的な尾が、同じような環境で生息していた数種類の分類群の動物においてそれぞれ独立に進化していたことも示唆されている。
doi:10.1038/ncomms3423
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature