Research Press Release
血液がんに関連する遺伝子多様体
Nature Genetics
2013年8月19日
血液、骨髄とリンパ節に影響する血液がんに関連する遺伝子多様体に関する2つの独立した研究の成果が、今週オンライン版で発表される。
小川誠司(おがわ・せいし)たちは、血液がんの一種である骨髄系腫瘍の29人の患者について、ゲノムのコード領域を網羅する全エキソーム塩基配列データの解析を行い、その後、これとは別の原発性骨髄系腫瘍の検体581点において9つの接着関連遺伝子の選択的な塩基配列解読を行った。小川たちは、さまざまな骨髄系腫瘍において、コヒーシン複合体の複数の構成要素において突然変異と欠失が反復的に認められることを明らかにした。コヒーシンは、細胞分裂時の姉妹染色分体の接着、複製後のDNA修復、そして、転写調節に関与するタンパク質複合体である。
一方、Richard Houlstonたちは、形質細胞の悪性腫瘍である多発性骨髄腫の全ゲノム関連解析を行い、多発性骨髄腫に関連する4つのゲノム領域を同定した。これらの領域は、小川たちの論文で報告されたゲノム領域とは重複していない。
doi:10.1038/ng.2731
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
