Research Press Release
分子1個のスナップショット
Nature Chemistry
2010年8月2日
Nature Chemistry(電子版)によると、医学的に重要な天然物など、未知有機化合物の構造決定に原子分解能の顕微鏡法が役立つかもしれない。構造を決定する際、場合によっては、化合物を合成してその構造を天然物の構造と比較する必要がある。しかし、今回の方法を利用すれば、このような時間もコストもかかる過程を避けることができるであろう。
自然は無数の有機化合物を作り出しており、その多くが医薬品候補となりうる。しかし、それらの化合物を利用する重要な第一段階は、それらの分子構造を決定することである。L Grossらは、走査プローブ顕微鏡技術を用いて、原子分解能で未知化合物分子1個の画像を得た。別の従来型特性評価技術と組み合わせることによって、その化合物の分子構造を決定することができる。現在、正確な構造決定が大変困難な化合物が数多く存在する。今回の方法は、そのような化合物の構造決定に向いているであろう。
doi:10.1038/nchem.765
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature