Research Press Release
グリーンランド・フィヨルドにおける氷河の融解
Nature Geoscience
2010年2月15日
グリーンランドのフィヨルドで海洋が融解することがグリーンランド氷床の安定性に重要な影響をもたらすと、Nature Geoscience(電子版)に発表される2つの研究が示している。複数のフィヨルドで海洋観測を行った結果、外洋からフィヨルドへ温かい水はどのように入ってきて氷床の縁にある流出した氷河を溶かすかが明らかになった。
F Straneoらは、グリーンランド最大の流出氷河の1つであるヘルハイム氷河を海とつなげているフィヨルド内の水の性質を測定した。彼らは、岩礁の上の亜熱帯海水とフィヨルドの水が活発に交換していることを報告しており、最近の氷河の加速は離れた場所での大気と海洋の変化が引き金となっていると示唆している。
E Rignotらは、西グリーンランドの3つの氷河フィヨルドを研究し、海洋下の融解による氷の損失は、氷河ごとに大きな変動はあるが、氷山の崩壊による損失と同じ程度であることを見つけた。
またNews & Viewsでは、P Hollandが次のように書いている。「StraneoらとRignotらの研究は、グリーンランドの氷がフィヨルドへ失われていく過程を解明するうえで重要なステップとなっている」。
doi:10.1038/ngeo764
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature
-
微生物学:マウスにおけるマイクロバイオームと仔の健康との関連Nature
-
分子生物学:運動の健康効果の基礎をラットの研究で解明するNature