Research Press Release
低温は褐色脂肪組織を作りだす
Nature Cell Biology
2012年11月12日
褐色脂肪組織の形成を調節する温度感受性の経路が、マウスで見つかった。この知見は、肥満の新しい治療法につながるかもしれない。
褐色脂肪組織は、低温への暴露や食餌に応じて、脂質とグルコースを消費して体熱を産生する。M Stoffelたちは、低温に応じて成熟褐色脂肪細胞の形成を促進するシグナル伝達経路を明らかにしている。彼らは、低温にさらされるとマイクロRNAのmiR-133の産生が低下することを見いだした。miR-133は、褐色脂肪形成のマスター調節因子であるPrdm16の産生を負に調節しているので、これらの知見は褐色脂肪産生が温度によって調節されていることを明らかにしている。
マウスモデルでは褐色脂肪の蓄積は肥満と逆相関することが知られているが、この経路がヒトで肥満治療に役だつかどうかを決めるにはさらなる研究が必要と考えられる。
doi:10.1038/ncb2612
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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