生物学:新たに特定された「王台作り蜂」がミツバチの王族を形作る
Nature
2026年6月4日
物理化学的に独特なピーナッツ型の蝋の巣房で女王蜂を育てる役割を担う、これまで認識されていなかった若い働き蜂のグループについて報告する論文が、今週のNature に掲載される。この論文は、王台(女王蜂の巣房)が単なる構造的な容器ではなく、女王蜂の発育に重要な役割を果たす、設計された微小環境であることを明らかにしている。
いわゆるローヤルゼリー―働き蜂が分泌し、幼虫に与えられる腺分泌物―は、長い間、女王蜂の発育における鍵となる因子と考えられてきた。隣接する六角形の巣房とは、形状が大きく異なるにもかかわらず、王台(幼虫が発達する場所)は単なる受動的な保護施設とみなされており、女王蜂の発育に対するその影響は依然として不明なままである。
Kai Wang(中国農業科学院〔中国〕)、Boris Baer(カリフォルニア大学リバーサイド校〔米国〕)、Xiaofeng Xue(中国農業科学院〔中国〕)らは、王台の蝋の組成について一連の実験を行った。走査型電子顕微鏡を用いた結果、著者らは王台の蝋が、働き蜂の巣房の蝋に比べて密度が低く、柔軟性が高く、および融点が高いという、明確な物理的・化学的特性を示すことを発見した。著者らは、女王蛹を女王蛹用蝋または働き蛹用蝋で封蓋された172個の蛹房で7日間飼育し、この環境の影響を検証した。その結果、働き蛹用蝋の蛹房で発育した女王は死亡率が高く、体サイズも小さかったことから、王台特有の生化学的環境が発育中の幼虫にとってきわめて重要であることが示唆された。また、著者らは、「王台作り蜂(queen cell builders)」と名づけられた、特殊な生理的適応を持つ独自の働き蜂のタイプを特定した。
働き蜂の巣房作り蜂と比較して、王台作り蜂は一般的に若く、胸部温度が高く、代謝活動も異なる。行動追跡の結果、王台作り蜂らは単に既存の材料を再利用するのではなく、構築中に王台の蝋を積極的に改変、濃縮、および希釈していることが示された。
これらの発見は、ミツバチの分化と巣の構造に関する従来の理解に異を唱えるものであり、王台を特別に設計された微小環境であり、ミツバチのタイプを決定する重要な要因として再定義するものである。著者らは、この現象がアジア産およびヨーロッパ産のミツバチにおいて一貫して見られることを確認した。
- Article
- Published: 03 June 2026
Fang, Y., Ma, B., Jin, X. et al. Queen cell architecture shapes honey bee queen development. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10534-3
News & Views: What a royal bedchamber provides the queen bee
https://www.nature.com/articles/d41586-026-01580-y
doi:10.1038/s41586-026-10534-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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