Research Press Release
【炎症】マスト細胞を遮断するとマウスの腸炎が軽減される
Nature Communications
2012年9月5日
このほど、マウスの研究で、抗体を使ってプリン受容体P2X7を遮断すると、腸炎を軽減できることが明らかになった。この新知見は、腸疾患における炎症を遮断するうえで役立つ可能性があり、ヒトのクローン病に伴う炎症の生物学的性質に関する手がかりをもたらしている。この研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
今回、國澤純(くにさわ・じゅん)たちは、マウスの研究で、プリン受容体P2X7に結合する抗体を用いることでマスト細胞(炎症に関与する細胞)の活性化を遮断できることを明らかにした。この抗体を化学的に誘発したマウス大腸炎モデルに投与したところ、炎症が軽減されたのだ。また、クローン病患者の組織中のマスト細胞もP2X7を発現することが判明し、このことは、P2X7を標的とした治療法によってクローン病に伴う炎症も軽減できる可能性を示唆している。
これは、大腸炎のマウスの治療法について調べた研究だが、さらなる研究によって、この方法をヒトのクローン病などの炎症性腸疾患に用いる可能性が生まれるかもしれない。
doi:10.1038/ncomms2023
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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