Research Press Release
MRSA感染に関係する、非常に珍しい毒性決定因子
Nature Medicine
2012年4月23日
中国でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染の流行に、非常に珍しい遺伝因子が関係していることがわかったとの報告が寄せられている。この遺伝因子が、有望な治療標的になるかもしれない。
MRSAの波状流行の原因に、どのような分子過程がかかわっているのかはほとんど解明されていない。Michael Ottoたちは、ゲノム内を動き回れる遺伝因子sasXが、MRSAの体内への定着と発症に重要な役割を果たしていることを発見した。sasXが存在すると、鼻でのコロニー形成、肺の病変、膿瘍形成が強く促進され、しかも菌が免疫系を逃れるのを助ける働きもする。また、最近sasXがある系統の菌から別の系統の菌の侵襲性クローンへと広がったことも観察され、sasXが、すばやく広がってMRSAの病原性を決定する因子であることが示された。
doi:10.1038/nm.2692
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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