古生物学:モンゴルで発見された新種のティラノサウロイド恐竜
Nature
2025年6月12日
ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)を含む恐竜グループであるティラノサウロイド(tyrannosauroid)の新種が発見されたことを報告する論文が、Nature に掲載される。この発見は、白亜紀後期におけるより広いティラノサウルス種の進化とその分散パターンに新たな光を当てるものである。
ユウティラノサウルス(Eutyrannosaurians;ティラノサウルス・レックスを含む)は、約6,600万年前までアジアと北アメリカの地形を支配していた大型捕食恐竜のグループである。これらの頂点捕食者は、小さな体のティラノサウロイドから発生したと考えられているが、この考えを裏付ける化石証拠はほとんどない。
1972年から1973年にかけてモンゴルで発見された2体のティラノサウロイドの部分骨格が、Jared Voris、Darla Zelenitskyら(カルガリー大学〔カナダ〕)によって再調査され、Khankhuuluu mongoliensisと名付けられた新しいティラノサウロイドの種と属に分類された。骨格の系統学的解析から、この新種は、ユウティラノサウルスの近縁種であり、巨大で深い鼻を持つティラノサウルス族(Tyrannosaurini)や、小型で浅い鼻を持つアリオラムス族(Alioramini clades)の近縁祖先であることが示唆された。著者らは、ユウティラノサウルス類はアジアからKhankhuuluuのような中型ティラノサウロイドが移動してきた結果、北米で誕生したと示唆している。これらのユウティラノサウルス類は北米に留まり、アジアに戻る一度の分散まで多様化し、アリオラムスとティラノサウルス族を確立した。これらの種はそれぞれ、中層捕食者(mesopredators)と頂点捕食者(apex predators)として、異なる生態的地位を占めることができたことが示唆されている。
この新種は、ユウティラノサウルス類の進化を特徴づける形態学的特徴に関する重要な洞察を与えてくれる。
- Article
- Published: 11 June 2025
Voris, J.T., Zelenitsky, D.K., Kobayashi, Y. et al. A new Mongolian tyrannosauroid and the evolution of Eutyrannosauria. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08964-6
doi:10.1038/s41586-025-08964-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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